腱鞘炎の改善について

お客様の施術例

新人ママのMさん(30代)が、左手親指の付け根の腱鞘炎のためにお見えになりました。痛みが出始めて2週間が経ちます。何かふとした動作の時に強い痛みを感じるとのこと。

妊娠中または産後まもない時期は、女性ホルモンの影響で特に腱鞘炎になりやすいと言われています。それと重なって赤ちゃんを抱っこしなければなりませんので、ますます腱鞘炎のリスクは高くなってしまいます。

女性ホルモンと腱鞘炎の関係は、また後程 説明します。

腱鞘炎の検査

フィンケルスタインテストという狭窄性(きょうさくせい)腱鞘炎の整形学検査を行うと明らかに痛みが強くなりました。狭窄性腱鞘炎は、別名ドゥ・ケルバン病ともいわれ、手首を酷使することで「長母指外転筋」と「短母指伸筋」の腱が入っているトンネル(腱鞘)が、滑膜の炎症によって狭くなり、腱が動く時に痛みが生じるものです。

フィンケルスタインテスト
フィンケルスタインテストは、クライアントさんに親指を中に入れて握りこぶしを作ってもらい、そのまま小指側に側屈させる検査です。この時、腱が通っているトンネルに鋭い痛みが生じるならば、明らかに狭窄性腱鞘炎だと言えます。どうやらMさんは、狭窄性腱鞘炎になってしまっているようです。

腱鞘炎の施術

腱鞘炎

さて施術に入っていくのですが、Mさんはフィンケルスタインテストを行うまでもなく、親指を曲げたり伸ばしたりするだけでも痛みが出ていました。気を付けなければならないのは、腱鞘炎が生じているトンネルの部分だけ施術しても、このようなケースはなかなか改善しないものです。何にしてもまずは体全体のバランスを見なければなりません。
 
Mさんは長年ピアノを弾いていたこともあり、猫背、巻き肩、それに骨盤のゆがみもありました。腱鞘炎を施術する前に、まずはこれらの矯正を行いました。そうすると、この時点で左親指の曲げ伸ばしをしてもらうと、痛みが随分と減っていました。つまり、痛みの原因は親指だけではなかったということです。
 
しかし、フィンケルスタインテストを再度行うと、最初よりはましになったものの、まだ痛みはあるとのことです。ここからは上肢の施術に入っていきます。
 
前腕の筋肉に触れてみるとガチガチにこわばっていましたので、まず前腕の筋肉の緊張を取る施術を行いました。そして、前腕の2本の骨(橈骨と尺骨)のアライメント調整、骨間膜の調整、手根骨の調整を行い、再度テストを行ってみると、少し引っかかりはあるものの、痛みはほとんどないとのことでした。
 
最後にテーピングを施し、初回の施術はこれで終了です。
 
Mさんは、現在までに数回施術に通われていますが、随分良くなっておられます。子育ては大変ですが、これからも定期的にメンテナンスに通われるようお勧めしています。
(※あくまで結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。)

腱鞘炎になりやすい人

腱鞘炎手を酷使する仕事の人は、腱鞘炎になりやすいです。例えば、ピアニスト、プロゴルファー、テニスプレーヤー、プログラマー、美容師、調理師など。他にも数え上げればきりがありませんね。
 
最近では、スマホやポータブルゲーム機の使い過ぎでも腱鞘炎になるケースが報告されています。
 
そして、妊娠中、出産後の新人ママも女性ホルモンの関係から腱鞘炎を発症しやすいと言われています。当院に腱鞘炎のお悩みで来院されるお客様のほとんどは育児中のママさんです。

なぜ育児中のママは腱鞘炎になりやすいのか?

リラキシンという女性ホルモンがあります。リラキシンは骨盤の「仙腸関節」と「恥骨結合」という靭帯を緩めることで産道を確保し、出産がスムーズに行われるよう作用するホルモンです。陣痛が始まると、大量のリラキシンが全身に放出されます。そして骨盤だけでなく、全身の靭帯を緩めるように作用します。
 
緩んだ靭帯は損傷を受けやすい状態になっています。ですので、産後 赤ちゃんを抱っこすると、もろに手首に負荷がかかってしまい、腱鞘炎を発症しやすくなります。育児中のママが発症しやすい腱鞘炎が、今回 当院での症例としてご紹介した「ドゥ・ケルバン病」です。

腱鞘炎を放っておくと危険!?

バネ指腱鞘炎の痛みを我慢し、放っておくと、「バネ指(弾発指)」という状態になります。炎症が悪化し、腱や腱鞘が腫れて(肥厚)しまい、腱鞘の中を腱がスムーズに滑らなくなり、やがては曲げ伸ばしの途中で引っ掛かって止まるようになります。
 
その止まった状態からさらに動かそうとすると、「ガクッ」と衝撃がして何とか動きます(弾発現象)が、痛みを生じます。バネ指は腱鞘炎が悪化したもので、腱鞘炎よりも治りにくいです。最悪の場合は、腱鞘を切る手術をしなければならない場合もあります。
 
腱鞘炎の段階(バネ指になる前の段階)で、整体施術を受けられることをお勧めします。当院では、腱鞘炎が起こっている患部だけでなく、全身の体の使い方の癖から問題を起こしているところ(骨盤や体幹や首など)を割り出し、全身をトータル的に施術することで、少しでも早く改善できるような整体を行っています。