カイロプラクティックとは

カイロプラクティックの誕生

ヒポクラテス D.Dパーマーカイロプラクティックの起源は古代エジプトにあるといわれています。

有名な人物では、「医聖」と呼ばれたヒポクラテスがいます。彼はクライアントに対して脊柱マニピュレーション(手技による脊椎の矯正)を施していたという記録があります。

この骨格矯正は2000年の長きに渡り世界各地に民間療法として伝承されていきました。

D.Dパーマーは、当時電気療法師でした。彼の使用人であるハーヴェイ・リラードは若い頃重い荷物を持ったときに背中に異様な音がして、それ以来耳が聞こえないようになっていました。

パーマーはリラードの背中を手指で触れて、脊柱の一部が隆起しているのに気がつきました。パーマーは彼を説得した後、その隆起している脊椎を正常な位置に押し込みました。すると17年間ほとんど失われていた聴力が見事に回復したのです。

この出来事は後に「ファーストアジャストメント」と呼ばれカイロプラクティックが生まれるきっかけになったのでした。

「カイロプラクティック」という言葉の語源はギリシャ語で、「手」を意味する「カイロ」と、技術」を意味する「プラクティコス」を組み合わせて作られた造語です。

先天的知能(イネイト・インテリジェンス)とは

D.Dパーマーは、同じ親から生まれ同じ家庭に育ち同じものを食べて育った兄弟でさえ、1人は健康なのに、もう一人は病気がちであったりするのはなぜか疑問に思っていました。

彼は膨大な量の書物や研究によって、人間の健康を左右するのは「先天的知能(イネイト・インテリジェンス)」が正常に働いているか否かによって決まると結論付けました。「先天的知能」とは誰にでも平等に備わっているもので、身体の機能を常に正常な状態に保とうとうとする働きのことです。自然治癒力といえば分りやすいでしょう。

この「先天的知能」が正常に働いていない状態では、健康を保つことは出来ないという理論です。

健康な状態→先天的知能の働きが十分

不健康な状態→先天的知能の働きが不十分

では、先天的知能の働きを阻害するものは何か。それをカイロプラクティックでは「サブラクセーション」といい、簡単に言えば関節機能障害のことを指します。

サブラクセーションとは

サブラクセーションとはその言葉の意味である「脱臼」や「亜脱臼」をさすものではなく、カイロプラクティックでは正常な可動性が消失または減少した修復可能な関節のことを意味します。いわゆるズレや歪みといえば分りやすいでしょう。

ではなぜサブラクセーションがあるとイネイト・インテリジェンスが正常に働かないのでしょうか?

イネイト・インテリジェンスの働きは、言い換えれば神経系の働きといえます。ですから神経系の働きが正常であれば健康を保てるわけです。つまりサブラクセーションはその神経系の働きを阻害してしまいます。

関節機能障害でなぜ神経系の働きが阻害されるの?と疑問に思う方もいらっしゃると思います。生理学的にきちんと説明できることなのですが、かなり専門的になってきますのでここでは省略させていただきます。

なぜサブラクセーションができるのか ?

D.Dパーマーは、病気になる原因は「外傷、毒、自己暗示」といっています。

現代のカイロプラクティックでは逆に健康である条件を「構造、化学、精神」という言葉を用いて説明しています。これを「健康の三要素」といいます。

健康の三要素
健康の三要素

それぞれの要素においてサブラクセーションの原因になる可能性があります。

構造については外傷や外力により解剖学的構造に乱れが生じるもの。
化学については栄養の補給は正常な生命活動のために必要であるが、その摂取が不十分であると正常な筋肉活動、ひいては正常な関節運動が行えなくなる。
精神については精神的ストレスが続くと自律神経機能、内臓機能が低下し、反射として筋肉や脊柱の機能障害となる。

このように健康の三要素のバランスがどれかひとつでも崩れると容易にサブラクセーションに発展してしまうのです。

矯正(アジャストメント)と矯正音(キャビテーション)

カイロプラクティックでは、「モーション・パルペーション」という関節の可動性の検査によってサブラクセーションを検出します。
さらにその関節においてもっとも可動性が失われている方向に瞬間的に関節を動かす矯正を行います。これを「アジャストメント」といいます。

モーション・パルペーションでどの方向にどの程度の振幅でどの程度の速度で矯正するかを判断し、アジャストメントの際にそれらを瞬時に調節して矯正を行います。

さらに詳しいことは「施術の流れ」のページで説明します。

下の図は『腰椎』のアジャストメント(矯正)をしているところです。

腰椎の矯正アジャストメントされた関節は正常な可動性を取り戻し、滞っていたイネイト・インテリジェンスの働きも正常に回復するのです。

アジャストメントすることでコリがほぐれたり、痛みが取れたり、柔軟性が増したり、姿勢が良くなったり、内臓機能がUPしたり、疲労が回復したり、その他さまざまな効果が期待できます。

アジャストメントされた際に、「ポキッ」という矯正音が鳴ることがあります。この音のことを「クラック」または「キャビテーション」といいます。

この音の正体は、関節の中の潤滑油である関節液に溶けているガス(窒素や二酸化炭素)がアジャストメントの瞬間、関節液の圧力が陰圧になることで気泡になって出てくるときの音なのです。決して骨が外れたり砕けたりする音ではありませんのでご心配なく。この気泡は約20分でまた関節液の中に溶けていきます

しかし、アジャストメントにキャビテーションが必要不可欠ということはありません。体質やその日のコンディションにより音がならないこともあります。キャビテーションがなくても効果には何ら影響はありません。

逆にキャビテーションがなければ効果がないと思っているカイロプラクターがいるとすればとても危険ですよね。そんな人はいないと信じていますが。

矯正(アジャストメント)は痛いのか?

胸椎の矯正よく、「矯正は痛くないですか?」というご質問をいただきます。

もし痛い矯正をするカイロ院や整体院があるとすれば、確実に矯正のやり方を間違っています。危険なので行かない方が良いでしょう。

正しい矯正は、決して痛みを伴うことはありません。むしろ、爽快な心地良さを感じていただけるはずです。

施術後にどんな反応が出るのか ?

初めてカイロプラクティックの施術を受けた後は、全身の代謝が活発になり循環が良くなるためだるさや眠気を感じることがあります。特にその日の晩はぐっすり眠れることと思います。

しかし注意事項として初めて施術を受けた日は運動などはせず、なるべくゆっくりしてアルコールや煙草は控え、入浴も短くして下さい。

急激な体の変化により、ある意味体の状態が安定していないので循環が良くなりすぎて気分が悪くなったり、無理をするとまたすぐに歪みが戻ってしまいますので気をつけて下さい。

施術直後から2~3日の間にだるさ、軽度の痛みを感じることがありますが、これは副作用ではなく回復していく過程で現れる「好転反応」です。

反応が出ているご本人にとってはあまり好ましい状態ではないかもしれませんが、2~3日の間に治まっていきますので心配はいりません。好転反応は施術を繰り返していくうちにだんだんと出なくなっていきます。