約15年前から繰り返し発症する腰痛のお悩みで、会社員のIさん(45歳・男性)がお見えになりました。腰痛はもちろんですが、最近、いつの間にか左の太ももの前面にしびれが出るようになり、こちらの方が気になるとのことでした。腰痛自体は15年前から繰り返していますが、4年前にウエイトトレーニングでかなり重い物を持ち上げた時をきっかけにさらに痛みがひどくなったようです。
検査
まず骨盤をみてみると、左右の骨盤の位置がそろっておらず、左右で捻じれていました。次に腰椎に触れて検査をしてみると第4腰椎が少し前方にすべっていました。太ももの前面がしびれるということなので、上位腰椎の椎間板ヘルニアではないかと考え、それを確かめるために「大腿神経伸展テスト」を行いました。もしこの検査で太ももの前面に痛みやしびれが誘発されれば陽性となり、上位腰椎の「椎間板ヘルニア」と判断されます。
大腿神経伸展テストを行ってみると案の定、左太ももの前面のしびれが増強しました。MRIを撮ったわけではないので、この検査だけで「絶対にヘルニア確定!」とは言い切れませんが、カイロプラクティックでは椎間板ヘルニアは禁忌症であり、ヘルニアの可能性があるなら施術を行ってはいけないことになっています。
せめて骨盤の矯正だけでも
以上のようにIさんに説明しました。
しかしIさんは今回遠方からお越しになっておられ、このままお帰りいただくのは非常に心苦しかったので、少なくとも骨盤の調整だけはさせていただこうと思い、うつ伏せのまま左右の骨盤の下に(左右が正常に整う位置に)骨盤ブロックを挟んで5~6分放置してみました。
私としてはほとんど期待していなかったのですが、ブロック調整の途中でIさんが、「しびれが随分減ってきました」とおっしゃるではありませんか!?
骨盤がある程度整った頃合いを見計らってブロックを外し、次に仰向けでももう少し骨盤を微調整しました。すると、しびれはほとんどなくなったようです。そして腰痛自体も同様に楽になったようです。
MRIを撮っていないので椎間板ヘルニアではないとは言い切れませんが、骨盤を調整しただけでここまでしびれの症状がなくなってしまうということは、今回のしびれの症状はヘルニアが原因ではなかったようです。
師匠の教え
かつて師匠より、「クライアントのどの部位に症状が出ていてもまず骨盤から見なさい」とのご指導をいただいたことがあります。私も今回のように劇的に症状が軽くなるとは思ってもいなかったのですが、やはりカイロの原理原則に則って(師匠のご指導の通りに)施術を行うと、このように何らかの良い変化が起こるということを改めて思い知らされました。
※もちろん椎間板ヘルニアが原因だった場合は、このようにうまくはいきません。整形外科に委ねるより他はなかったでしょう。
念のため、翌日にもう一度お越しいただきましたが、左太もものしびれはありませんでした。
さらに1か月半ほど過ぎた頃にお見えになりましたが、左太もものしびれは再発しておらず、腰と肩に少し痛みがある程度とのことで、今回は主にメンテナンスが目的だったようです。お帰りになるときには、腰も肩も楽になられていました。
カイロプラクティックの可能性
手技療法家の心構えとして、「何でも改善できる」などといった傲慢な態度は良くないですし、時には「カイロでは良くなりません」とはっきりお客様に伝えることが大切です。しかし今回のケースで、私が思っていた以上にカイロプラクティックは大きな可能性を秘めた技術・学問なんだなと認識を新たにしました。
カイロの世界に身を置いて15年以上になりますが、まだまだ発見がありますし、まだまだ勉強ですね。
(※あくまで結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。)
(※あくまで結果には個人差があり、効果を保証するものではありません。)