慢性的に痛みがある場合、筋肉の硬結(しこりのような手触り)を強く押すと、「ズキンッ」と響くような痛みが生じることがあります。このしこりのようなポイントをトリガーポイント(筋筋膜性疼痛症候群)といいます。トリガーポイントは、J.D.トラベルとD.G.シモンズによって体系付けられました。
トリガーポイントの特徴
トリガーポイントを押すと、「痛(いた)気持ち良い」などと表現される疼痛が生じたり、そのポイントから離れたところに痛みが生じることがあります(放散痛)。「トリガーポイント」という呼び名は、このように痛みの引き金(トリガー)になっているというところから名づけられました。しかも各々のトリガーポイントは決まったパターンの放散痛を呈するのが一般的です。
しかし気をつけなくてはならないのは、椎間板ヘルニアのような神経根に対する障害では、神経支配領域に一致した部位に痛みが発症しますが、トリガーポイントにおけるそれは、必ずしも神経支配領域とは一致していないという特徴があります。
その他の特徴を挙げてみます。(参考:トリガーポイント研究所H.P)
- トリガーポイントは筋膜内に形成される。
- 押圧すると症状の再現が見られる。
- 飛び上がるほどの痛みを発することがある(ジャンプサイン)。
- 鳥肌が立ったり発汗するなどの自律神経反応を引き起こすことがある。
トリガーポイントができる仕組み
トリガーポイントができる仕組みはまだはっきりとは解明されていませんが、最も有力とされる仮説は次の通りです。
外傷や激しい運動などで筋肉(筋膜)に微細なキズができます。このキズが元でトリガーポイントが形成されます。また同じ運動を何度も繰り返したり、ずっと同じ姿勢を続けることでも特定の筋肉に負担をかけてしまい、やはりトリガーポイントが作られてしまいます。
このように、トリガーポイントは日常生活の中で案外容易に作られてしまうのです。実際に当院のお客様の中でも骨のゆがみではなく、トリガーポイントが原因で痛みが起こっている方が少なくありません。
海外の文献によると、男女に関わらず約半数の人は19歳までにトリガーポイントによる疼痛を経験すると報告されています。また、慢性痛の原因の半分はトリガーポイントによるものであり、一般外来で痛みを訴えるクライアントの3分の1の病因がこれであるとされています。
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スプレーアンドストレッチ(冷却スプレーの噴霧と筋のストレッチ)が効果的であると言われています。また、局所麻酔剤を直接トリガーポイントに注入する方法もあります。
有名な事例をご紹介します。
かのJ.F.ケネディー大統領はフットボールで腰を痛め、椎間板ヘルニアと診断をされて、ヘルニアに対する手術をしましたが症状が改善せず、続いて脊椎固定手術をして更に症状が悪化。その後、先のJ.D.トラベルがケネディー大統領を「筋筋膜性疼痛症候群(トリガーポイント)」と診断、トリガーポイント注射などの治療を施して、症状が大幅に改善したという事例があります。
カイロプラクティックでもトリガーポイントに対する施術を行っています。これはR.L.ニモが開発した方法で、圧痛部位を直接圧迫することにより虚血状態を生じさせることで治療するテクニックです。細かい施術方法の説明はここでは省略させていただきますが、冷却スプレーなどを使わなくてもトリガーポイントに対して十分に効果を上げることができます。ほとんどのお客様が1回から数回の施術で効果を感じてくださっています。
先日も肩が挙がらないお客様が来られましたが、肩が痛くて挙がらないのではなく、肩を挙げようとすると肘の内側に刺すような痛みが生じて挙げられないとのことでした。こちらに来られる前日に整形外科に行って、肩に注射を打たれて余計に痛みがひどくなったとのことでした。
いろいろと検査をすると、関節にも循環にも神経系統にも異常がありませんでした。そこでトリガーポイントを疑いました。脇の下に前鋸筋(ぜんきょきん)という筋肉があります。この筋肉に触れてみると案の定、しこりのようなポイントがありました。そしてそのポイントを押圧すると、肩を挙げた時と同じように肘の内側に刺すような放散痛が生じました。そこでこの部位にトリガーポイント施術を行ったところ、肘の痛みなく肩を挙げることが出来るようになりました。
このようにトリガーポイントが原因であれば、ほとんどの場合、その場で変化が出ることが少なくありません。