鉄分を摂り過ぎると体がサビる?

食に関することで多くの方が誤解していることがあります。今回は、「鉄分は体に良いから、たくさん摂るべきだ」という一般の常識に対して検証してみたいと思います。

鉄分を摂りすぎると体がサビる? 

例えば、貧血症の女性が病院に行くと鉄剤を処方されたり、鉄分を多く含む食品を摂るよう指示されるでしょう。確かに女性は生理や出産などで鉄分を失ってしまうので、貧血症になりやすいのは仕方のないことです。当然、失った鉄分を補給するためにレバーや赤身の肉や魚などを食べる必要があります。
 
しかし、気をつけなくてはならないのは、「鉄分を摂り過ぎると体がサビる!」ということです。

活性酸素は老化を促進する 

皆さんご存知のように、鉄がサビるのは「酸化」が起こるためです。人体にもこの「酸化」は起こります。
鉄分の多い食事を摂り過ぎると、体内でフェリチンという鉄を貯蔵すタンパク質が増えます。血中フェリチン濃度が高くなると「活性酸素」が体内に増えるといわれています。
 
活性酸素は主に血管の細胞を攻撃し、身体を酸化させてしまうのです。これがまさに「老化」です。活性酸素は不安定な分子構造(電子が一つ欠損)をしているので自らを安定させるために正常な他の細胞から電子を奪います。電子を奪われた細胞は傷ついたり死んだりします

動脈硬化の危険も! 

そのため、傷ついた血管の内壁にコレステロールや脂肪分がたまって動脈硬化を起こします。これを一般的に「粥状(じゅくじょう)動脈硬化」といいます。
 
血管の内壁にどろどろした粘りがあって、スムーズに血液が流れなくなります。このどろどろしたねばりの大きいものを「血栓」といい、これがはがれると血管に詰まり、心筋梗塞脳梗塞の原因になります。
 
動脈硬化は鉄分の摂り過ぎだけでなく、脂肪やコレステロールの摂りすぎ、高血圧、高脂血症が元で起こることも多いので注意が必要です。 

結局、バランスの良い食事が大事! 

鉄分の取り過ぎによる酸化(老化)に話を戻しますが、貧血症の方も「鉄分を多く含む食品をたくさん摂ろう」と考えると、どうしてもそのような食品に偏ってしまい、鉄分を摂りすぎてしまうので、そうではなく「バランスの良い食事に心掛けよう」と考えた方が結果的には鉄分の摂り過ぎを防ぎ、体の酸化(老化)を防ぐことができると思います。
 
鉄分の摂り過ぎによる酸化は、もちろん女性の方に限ったことではありません。一例として挙げただけで男性でも同じように起こります。鉄分が体に良いと聞いてそれだけに偏った食事をしてはいけません。あくまでも、「バランスの良い食事」に心掛けましょう。